カン・チュンド『ETF投資入門』(日経文庫 2010)を読んだ。
タイトルのとおり、ETF(上場インデックスファンド)について、ひととおりの基礎を学ぶことができる。
インデックスファンド以外の投資は一切認めない「インデックスファンド原理主義」に偏ることなく、ETFのメリット・デメリット、ETFを使ったポートフォリオの作り方を説明している良書だ。
ETFの基礎を学べる良書
本書は「入門」ということになっているが、本書を読めばETFについて専門家レベルの知識を身につけることができると思う。
わたしはETFを含めたインデックスファンドに投資しているが、本書を読んでETFについて知らないことがまだまだ多い事に気づいた。
本書に書いてあることを知らずして「インデックス投資家」は名乗っちゃいけないな。
自戒を込めてそう思った。
国内と海外のETFの買い方に注意
本書を読んで一番良かったのは「国内ETFと海外ETFでは買い方に注意すべし」ということがわかったこと。
日本の証券取引所は値幅制限があるのでストップ高・ストップ安を超えて値段が上下することはない。
一方、海外の証券取引所は値幅制限がないので値段の上下が予想外に大きくなることがある。
よって、国内ETFを売買する時は成行注文で、海外ETFの売買は指値注文で注文を出すようにすべし(p.65)。
専門用語が少し多い
本書には「現物株バスケット」とか「AP」とか、ETF業界独特の「専門用語」が使われている箇所があり、初心者にはやや難しいかもしれない。
わからない用語があったらとりあえず飛ばして、ETFのメリット・デメリットやポートフォリオの作成法など、わかるところから読んでいけばいいのではないか。
インデックス投資の初心者、ベテランにも必ず役に立つ本だ。
目標利回り優先のポートフォリオは危険
ポートフォリオの作り方で勉強になったこと。
間違っても「○%くらいのリターンが欲しいから、このようなポートフォリオを組もう」という考え方は持たないようにしましょう。そのような発想は、投資のマイナス部分に蓋をすることにほかなりません。
p.129
「死ぬまでお金に困らないようにするには年利回りは○%必要だ。だから金融資産のうち、株は60%、債券は30%、、、。」という考え方でポートフォリオを組むのは危険だという。
あくまでも「投資家個人のリスク許容度」を最優先すべきだ。「リスク許容度」とは、「株価や為替がどれだけ変動しても安心して眠れること」だ。
株価や為替の変動で毎日一喜一憂して眠れなくなったり、「金融資産の大半を失った老後貧乏」を想像したりするのでは本末転倒だ。
精神的に大きなストレスがかかる投資はやりたくないものだ。
投資しながらも毎日ぐっすり眠れることが大切だ。
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