水木楊『人生後半戦のポートフォリオ「時間貧乏」からの脱出』(文春新書, 2004)を読んだ。
テーマは「人生後半は自分時間を取り戻すこと」だ。
自分時間とは「何をするのか自由に決定できる時間」のこと。
平均寿命は男性が80歳、女性が86歳なので、人生後半とはだいたい40歳以降のことだ。
「40歳を超えているのに自分時間が少ない人生は不幸」
「退職後、自分時間を有効活用できない人生は不幸」
では、どうやって「自分時間」を増やし、有効活用していけばいいのか。
本書を読むと色々考えることができる。
時間ポートフォリオ
本書p.33の図1によると、フルタイムで働いている人の平日の時間ポートフォリオは次のとおり。
肉体必要時間……睡眠、食事、トイレ、風呂など、人間として生きていくため必要不可欠な行動をするための時間
他人時間……職場などで他人に拘束されている時間、通勤時間も含む
自分時間……何をするのか自分で自由に決定できる時間
他人時間を削る
「肉体必要時間」は絶対に必要だ。
これを削ると「生活の質」が大きく損なわれるので避けたい。
よって、幸せになるには「他人時間」をいかに削るかがポイントとなる。
当ブログのテーマのように、「早期退職」で早めにフルタイム稼業から足を洗うという方法が一番手っ取り早い(だからわたしはそうした)。
ただし、サラリーマンのような時給労働者にとっては、他人時間を削るということは収入も削るということなので、実質的には他人時間を買い取って自分時間にするということになる。
わたしの経験では、給与収入はなくなっても給与収入を得るための余計な支出もなくなるので、収入減のインパクトは小さい。
他人時間にいくら払えるか?
現在の時給以上払ってでも自分時間が欲しい人は早期退職に向いている。
時給はざっくりと計算すると「年収÷年間労働時間」。
もし時給が2,000円だとすると、他人時間を2,000円超で買い取って自分時間にしたいかどうかだ。
もし「自分時間なんかいらない、お金がほしい」なら、「時間よりお金が大事」ということだから、いまの仕事をがんばるか、さっさと高収入の仕事に移るのがいちばん幸せということになる。
時間とお金、どっちが大事?
わたしの場合は40歳を過ぎて、「お金」<<<「自分時間」という気持ちがどんどんふくらんできた。
20代、30代の頃は「時間は無限にある」と錯覚していたが、人生後半になると「お金がなくなる前に自由に動ける時間がなくなる」という思いが強くなった。
お金の確保も大事だが、それ以上に自分時間をどのように確保するか、真剣に考えるきっかけを与えてくれた本だった。
文藝春秋
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