今日は祝日(秋分の日)で、「読書の秋×投資の秋」ということで株式投資(インデックス投資)についてひとり勉強会を実施した。
使用したテキストは、チャールズ・エリス『敗者のゲーム』(第1版・日本経済新聞社)。勝つことよりも「負けないこと」を目指すための個人投資家(特にインデックス投資家)のための本だ。
本書で一番印象に残ったのが、記事タイトルにした、
「個人投資家はプロの投資家に勝つ必要はない」
という言葉だ。
個人投資家はプロの投資家に勝つ必要すらない。本書で述べているように、投資に成功するということは、必ずしも市場に勝つことと同じではない。市場に勝とうとすると、つまり他の投資家に勝とうとすると、最適な長期的運用プログラムを設計するという、比較的単純ではあるが面白く、生産的な課題から、目をそらす結果になりがちである。
p.9
短期的な勝敗、他の投資家との勝敗にこだわり、「そもそも、何のために株式投資するのか?」という大きな目的を忘れてはいけない。
(「他の投資家に勝つことが投資の目的」ならば仕方ないけど……)
個々の戦闘ではそこそこ勝ったが、戦争に負けた
という70年前に日本が犯した過ちを投資でも繰り返してはならない。
日経平均株価やTOPIXと自分の投資成績を比べて一喜一憂したり、他の投資家の成績と自分の成績を比べて落ち込んだり安心したりする……こんな行動を取っている時点で「負けている」といえる。
本書では「それでも市場に勝ちたい」という人のために「市場に勝つ方法」が書いてある(親切な本だ)。
他人に勝つことよりも、自分で立てた投資目標が達成できればそれで十分、という個人投資家には「個人投資家のための十戒」が役に立ちそうだ(本書pp.182-186より)。
個人投資家のための十戒
(1)投機的判断で動いてはいけない……市場の動きを見ながら売買してはいけない。
(2)決して噂(うわさ)につられて売買するな……特にインサイダー情報は論外(違法だ!)。
(3)税務上有利という理由で動いてはいけない……401k(確定拠出年金)は例外(日本ならNISAでもOK)。
(4)自分の住宅を投資資産と考えてはならない……マイホームは居住スペースであり、それ以上でもそれ以下でもない。
(5)商品取引は考えものである……儲けた人はほとんどいない。
(6)証券会社の担当の人に気をつけなさい……彼らの仕事はあなたを儲けさせることではない。彼らの仕事はあなたから儲けることなのだ。
(7)新金融商品に投資してはならない……この手のほとんどは投資家に保有されるためというより、投資家に売るために設計されている(金融機関が手数料を稼ぐためだけの金融商品に注意)。
(8)債券は元本、利息が安全だとか、リスクが少ないと聞いて、債券に投資してはいけない……債券も価格変動するし、インフレに弱い。
(9)決してお金に心を奪われてしまってはいけない……特に儲け過ぎた時は頭を冷やすこと。
(10)直観を信じてはいけない……うまくいって有頂天の時は、大やけどが待っていると思ったほうがよい。偶然と実力を混同してはいけない。
あなたの資産は、あなたが作り上げた価値の積み重ねである
p.222
世の中に価値を提供せず、単に市販の金融商品を買ってハイリターンを狙う、というのは難しい。
「何のために投資をして金融資産を築くのか」「そもそも投資とは何か」……再度考えさせられる一冊だった。
「市場との競争」や「一攫千金」に心を奪われず、少しずつ資産を積み上げていきたいものだ。