『カネ遣いという教養』(藤原
著者は日本の大手銀行から高給取りの外資系金融機関のファンド・マネージャーに転身して億単位の資産を築く。
何年も「長者番付」に載り続けるほど稼いだらしい。
が、お金を「貯金」で置いておくことはできず、使いまくる。
若手銀行員時代に「33万円の高級イス」を買い、その後高級グルメ、有名作家の全集、大量のCD、美術館・博物館通い、などなど……。
すさまじい使い方だ(詳細は本書を参照)。
そして二度の離婚でカネはすべて消える。
カネはすべて「教養」に化けた。
本書を読んで「カネをすべて失って無一文になっても”教養”(特に読書)があれば幸せに生きていける」と感じた。
自己啓発本・ノウハウ本は無用
「教養」といえば「読書」だ。
わたしは読書が好きなので、著者の読書哲学に興味を惹かれた。
著者は膨大な本を買ってきたが、「自己啓発本やノウハウ本」は一冊も買ったことがない。
理由は「役に立たないと思っている」から。
かつて一世を風靡した女性経済評論家がいました。彼女は実業で何の成果を挙げていないにもかかわらず、仕事や人生のノウハウ本を書いてはベストセラーを連発していきます。
(中略)
彼女のかつての同僚の言葉が私には印象に残っています。
「自分の周囲をただの一人も幸せにしたことのない人間が、何で他人を幸せにするという本が書けるのか?」
「一世を風靡した女性経済評論家」って「●●マー」のような現象を起こした人だろうか……知らんけど(笑)。
「仕事で実績ゼロでも他人を幸福にしなくても自己啓発本が書ける」という「業界」の内幕を垣間見た。
「セミリタイア」についても「セミリタイア未経験者」が書いてはいけない(セミリタイア希望者を除く)。
真の自己啓発となる読書法
著者の次の読書法については大いに同意する。
本当の自己教育、自己啓発は、古今東西の名著とされるもの、歴史書、哲学書、小説を出来る限り沢山読むこと。名作とされる映画を数多く観ることで可能だと思います。
もし「自己啓発」(「自己投資」と言ってもいい)が目的で読書するなら、「古典」を読むのが一番の近道だ。
「古典」は少なくとも数十年以上、日本の古典では『古事記』や『万葉集』のように1,200年以上生き残って現在も読み継がれている。
「長期間生き残っている」という事実だけで「名著」と断言していい。
新刊本に比べて格段に「ハズレ」の危険性は低い。
まとめ
お金は使ったらなくなるが、読書経験はなくならずに死ぬまで利益を与え続けてくれる。
▼参考サイト
藤原敬之 『カネ遣いという教養』 | 新潮社