株式投資などで老後資金を運用している人が役に立つ3つの質問。
インデックス長期投資のバイブル、チャールズ・エリス『敗者のゲーム―金融危機を超えて<原著第5版>』(日本経済新聞出版社, 2011)によると、こららの質問がすべてYesだと、資産運用計画は「正しい」といえる。
合理的で、精神的にも不安がない資産運用計画が立案できている。
■質問
①インフレを考慮した上で、リタイア後の適切な生活水準を確実に維持できるか?
②不意の支出(特に老後の医療費)に十分な備えはあるか?
③遺産として用意する金額は十分か?
もし、ひとつでもNoがあるなら資産運用計画の見直しが必要だ。
本書を読み進めていくうちに「健全で正しい」資産運用計画を作成することができる。
正直、3つとも自信を持ってYesと言える人は皆無に近いのではないか……。
本書は、「現在を楽しみ、老後も不安のない」資産運用をしたい個人投資家が、短時間で効率的に資産運用計画を立案できる本当にお得な本だ。
これを読むか読まないかで、長期的にみると、投資成績に数千万~数億円の格差ができると思う。
老後破産しない資産の取り崩しかた
リタイア者にとってもっとも参考になりそうなのが「老後貧乏にならないための預金取り崩し額」の計算方法。本書では「保有する金融資産の3年移動平均値の4%以下」を年間取り崩し額の上限値として推奨している。4%ずつ使っていけば、25年は持つだろう。
例えば、過去3年間の年度末純金融資産が3,000万円、2,900万円、2,800万円なら、3年移動平均は(3000+2900+2800)÷3=2,900万円。2,900万円の4%は116万円となるので、資産取り崩し額の上限は116(万円/年)となる。不足分は年金なりバイトなりで調達しないといけない。もっと数値を厳しくしたければ4%未満とする。
このように、金融資産の運用方法だけではなく、リタイア資金の取り崩し方までアドバイスしてくれる、「かゆいところに手が届きすぎる」本だ。
資産運用の「敗者」とは
タイトルの「敗者のゲーム」の「敗者」とは、主に
- 毎日株価を見ながら頻繁に売買する投資家
- 短期間の株価の動き、損益に一喜一憂する投資家
- 投資に感情を持ち込む人
- 自分の投資手法に絶対的な自信を持っている人
- リスクを取るのが怖くて銀行預金やタンス貯金しかしない人
などを指すようだ。
なぜ「敗者」なのかといえば、無駄に高いコスト(お金・時間・ストレス)を支払う割に、得るものが少ないからだ(詳細は本書で)。
老後資産の運用は「敗者になることが許されないゲーム」だ。
本書を読んで少しでも「投資ミス」をなくしてほしい。
※2015.9.10現在の最新版は第6版