宇佐美典也『肩書き捨てたら地獄だった – 挫折した元官僚が教える「頼れない」時代の働き方』(中公新書ラクレ, 2014) を読んだ。
著者は東大を卒業後にキャリア官僚として経済産業省に入省するも、「自分の名前で勝負したい」と思いたち、早期退職して独立する。
しかし、当初はうまく行かず、無一文寸前まで追い込まれる。
その後「ブログ」をきっかけにして復活していく。
貯金300万円で早期退職
無一文寸前になって地獄に落ちたのは、大した貯金もないのに先の見通しを立てないまま辞めたからだ。
ある意味、著者の「自業自得」なのだ。
当初300万円程度あった預金残高も200万円を切り、100万円を切り、同時に精神もすり減っていきました。
「貧すれば鈍する」とはよく言ったもの。焦って不動産投資に手を出そうとして、これも失敗。残り少ない資金をさらに減らします。
p.35
お金がなくなると、人も著者の周囲から離れ、孤独になる。
残高2万円
忘れもしない、2012年12月27日。私は「落ちるところまで落ちた」と感じていました。
p.3
残り2万円でどうやって生きていくのか?
無一文寸前で復活
しかし、ここで人生は終わらない。
官僚時代から書いていたブログをきっかけに「セルフブランド」を作っていく、「東大卒で経済産業省OB」という肩書も利用して。
資金が乏しい早期退職者であっても、戦略的に情報発信していけば活路が見いだせるという希望がわく本だ。
ブログを「資産」として育てていけば、金融資産のように生活を守ってくれるはずだ。
資産化の具体的なノウハウは本書を参照してほしい。
でもやはり、早期退職するには貯金はあった方がいい。
「良い子は真似しないでね」と思う一冊だ。