島崎敢『心配学 「本当の確率」となぜずれる? 』(光文社新書, 2016) を読んだ。
本書は「心配事」が発生する確率を正しく計算して「正しく心配しよう」という本だ。
発生確率が非常に低いことを、すぐにでも100%起きるかのように心配するのはお金と時間の無駄だ。
本当は危ないのに心配しなさすぎると、危ないものから身を守ることができません。一方、実際にはほとんど危なくないことを、過剰に心配するのもあまりよいことではなりません。
つまり、「心配」の度合いは「本当の確率」からあまりずれていないほうがよいのです。
p.4
本書を読んで「40歳で早期リタイアしたとしても、”老後貧乏”になる確率をゼロ」にする方法を考えてみた。
老後を心配して、ただやみくもにお金を貯めこんでも心配は消えない。
ぶっちゃけ、いくらあればとりあえず大丈夫なのか、具体的な金額を試算した。
結論は「40歳で3,000万円+αの貯金があれば早期リタイアしても老後貧乏にならない」と見積もった。
見積もりの金額が高すぎる?
でも、記事の最後に「出精値引き」があるから40歳で3,000万円も用意する必要がないかも。
老後貧乏とは
老後貧乏の定義は、「老後貧乏から下流老人に転落する分かれ目はどこか」(2015.10.7 Diamond online)にならって、
「生活保護基準相当で暮らす高齢者及びその恐れがある高齢者」
とした。
具体的には「65歳以降、生活保護基準相当で暮らしたら老後貧乏」とした。
生活保護費の月額は大阪市HPによると
○生活保護基準額(65歳単身の場合)
生活扶助79,530円+住宅扶助(上限)42,000円+医療扶助等α=121,530円+α
だった(閲覧日:2016年4月7日)。
よって、生活保護基準相当の金額を月額12万円(年額144万円)とする。
65歳以降の年間生活費が144万円以下の場合「老後貧乏」と定義する。
40歳で早期リタイアした場合の年金
新卒で会社に就職して40歳で早期リタイア場合の年金受給額を試算してみた。
参照簡易年金試算-年金見込額(サラリーマン・自営業の期間がある方) (PSRnetwork)
生年月日は昭和51(1976)年4月7日とする。
サラリーマン時代の平均年収はボーナス込みで480万円、年金は厚生年金に18年、退職後は国民年金に20年加入したとする。
試算の結果、65歳からもらえる年金は124万円※1(厚生年金報酬比例部分48万円+老齢基礎年金76万円)となった。
90歳まで生きるとすると、124万円×(90-65)=3,100万円の年金がもらえる。
老後貧乏にならない早期リタイアにはいくら必要か
老後貧乏にならないための生活費は年間144万円超だ。
90歳まで生きるとすると、生活費の合計は144万円×(90-65)=3,600万円
3,600万円のうち年金が3,100万円なので、65歳までに必要な貯金の最低額は3,600万円-3,100万円=500万円と試算できる。
「医療費や介護費が入っていない!」というツッコミがあるかもしれないが、それは個々人の健康状態を加味して妥当な金額を加算してほしい。
例えば、医療費+介護費の自己負担を80~90歳で年100万円と想定するなら、100万円×10年=1,000万円をプラスする。
※※
以上の試算の結果、40歳で早期リタイアした場合に「老後貧乏」にならないためには65歳時点で「500万円+α」の貯金があればいい(くどいけど、医療費と介護費の自己負担分は除く)。
次に40~65歳までの生活費も試算してみる。
40~65歳までの貯金取り崩し額が年100万円だとすると、100万円×(65-40)=2,500万円となる。
よって、40歳時点で必要な「早期リタイアスタート金額」は、2,500万円+500万円=3,000万円だ。
もっとも、収入を上げたり、65歳までの支出を抑えれば貯金取り崩し額が小さくなるので、40歳時点で必要な貯金はもっと少なくてすむ。
※計算を簡単にするため、インフレ率、金利は無視した。
※1 年金受取額を80万円→124万円に訂正(2016.4.8 7:10)。年金を計算するとき、「年収」で計算すべきところを「月収」で計算していました。ご指摘いただいたDAI様、ありがとうございました。読者のみなさまには「年金の金額が少なすぎる!」とご心配をお掛けしました。申し訳ありませんでした。
※2 上記は2016年4月7日現在の情報です。