割増退職金1000万円につられ42歳で早期退職したら…(2019.4.19 日刊SPA!)
という記事を読んだ。
記事を要約すると、割増退職金1,000万円で42歳で会社を早期退職した妻子持ちの男性が、退職後の仕事がうまくいかず離婚して、家族とマイホームを失った、という話だ。
「大金とはいえ1,000万円につられて早期退職する?」というツッコミはあるが、それより気になったのは記事の中で「42歳で転落」という紹介の仕方をしている点だ。
つまり「早期退職 = 転落」と読めるのだ。
まるで「定年前に退職すること自体が人生の失敗」かのようだ。
セミリタイア経験者ならわかると思うが、転落でも失敗でもない。
「早期退職リスク」は貯金でカバー
記事で紹介されていた早期退職事例の失敗原因は2つ。
- 42歳で退職するには退職金が少なすぎた
- 退職後の仕事が不調だった
もし退職金がもっと多ければ、もし退職後の仕事がうまくいけば、彼は家族やマイホームを失わずにすんだかもしれない。
2つの原因のうち、2つめの「仕事」についてはうまくいくかどうか、個人の力ではコントロールできない。
いくら努力しても報われるとは限らない。
が、1つめの「お金」については個人の力でコントロール可能だ。
42歳の早期退職を成功させるには
早期退職する前に割増退職金1,000万円だけではなく、もっとお金を用意しておけばよかったのではないか。
少なくとも、夫婦が年金をもらう年齢までは、仕事がうまくいかなくても最低限の生活が保障されるレベルの貯金があればよかった。
シミュレーションしてみる。
42歳で早期退職するなら、年金をもらう65歳まであと23年ある。
家族の生活費を月30万円とすると年360万円、23年だと8,280万円必要だ。
退職金が1,000万円なので、自前での用意が必要なのは7,280万円。
もし、退職後に夫婦で月収10万円のバイトをするなら、23年で2,760万円稼げる。
ふたりで月収10万円なので「セミリタイアレベル」の仕事でいいと思う。
よって、42歳の退職時点で必要な貯金(退職金を除く)は、
7,280万円 – 2,760万円 = 4,520万円
となる。
低コスト生活ならさらに成功率が上がる
もし、生活費が月30万円ではなく月20万円なら必要な貯金は1,760万円だ。
退職から年金をもらうまでの23年間の生活費は5,520万円。
割増退職金1,000万円と退職後のバイト収入2,760万円を差し引くと、
5,520万円 – 1,000万円 – 2,760万円 = 1,760万円
退職前までに退職金とは別に1,760万円用意しておくだけでいい。
42歳までに1,760万円なら、正社員なら余裕で貯め込める金額だ。
もし低コスト生活に慣れれば、年金生活開始後の老後破産のリスクも低くなる。
早期退職が「転落」ではなく「ハッピーセミリタイア」になる。