わたしが以前読んだ本『独ソ戦』(大木 毅(著), 岩波新書, 2019)が「新書大賞2020」を受賞したというニュースを見たので、本書について紹介してみたい。
参照『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍』が「新書大賞2020」大賞を受賞しました(岩波書店)
「独ソ戦」とは第2次世界大戦のナチス・ドイツとソ連との戦いだ。
本書を読んで、わたしは「独ソ戦」に対する考え方が2つ変わった。
①ドイツは戦争初日からつまづいていた
独ソ戦といえば、戦いの序盤はドイツが電撃的な快進撃を続けたが、ロシアの冬将軍による寒さでモスクワの手前で進撃が止まり、その後のスターリングラードの敗戦などで防戦一方に回って終盤にベルリンが陥落して終戦となった。
というイメージを持っていた。
が、本書によると、ドイツ軍は戦争の初日から前線への補給が停滞していた。
加えて、戦闘での戦車・兵士などの損失が想定を大きく上回ったためさらに補給の破綻を加速させた。
本書を読む前はドイツ軍は初めは好調だと思っていたが、戦争のはじめから終わりまで好調ではなかった。
②ドイツ軍はソ連への侵攻を想定していなかった
ドイツはどのようにソ連に勝つつもりだったのか。
わたしは、ドイツ軍がソ連領にどんどん進撃して、首都モスクワを陥落させてソ連を降伏させる、と思っていた。
が、違っていた。
ドイツ軍はソ連の奥深くに侵攻するつもりはなかった。
ドイツ軍は、独ソの国境付近でソ連軍の主力と決戦を行いこれを殲滅して、降伏させ終戦、とするつもりだったようだ(当時はポーランドが消滅していたので独ソは国境を接していた)。
実際はドイツ軍の思惑通りにはならず、ソ連軍をいくら倒しても次々と兵士が沸いて出てくる。
結果的にドイツ軍はソ連の奥深くまで侵攻してソ連軍を倒し続けたが……。
独ソ戦の見方が変わる
第2次世界大戦に詳しい人でも、本書を読めばステレオタイプな「独ソ戦観」が一変すると思う。