池田徳眞『プロパガンダ戦史』(中公新書)を読んだ。
戦時中の各国別のプロパガンダの分類が面白い。
プロパガンダ(宣伝工作)の目的は、「敵国の国民の敵の考え方、行動を自国に有利になるように誘導すること」だ。
戦時だけではなく今もさかんに行われているはず。
国別プロパガンダの特徴
ドイツ……論理派
- 理屈っぽい→理屈で敵を説き伏せようとする
- 敵の為政者に向けて、論理的に
フランス……平時派
- 戦時の宣伝も平時の延長のよう
アメリカ……報道派
- 報道を多く流せば勝つと思い込んでいる
- 広告と宣伝を混同している
- 敵を倒すことより多民族社会の内部崩壊を心配?
イギリス……謀略派
- 冷静
- 敵国民の戦意を打ち砕くことに集中
- 質問する
- 結論は言わずに、敵に考えさせる
- 臨機応変に相手によってやり方を変える
上記の国の中で、イギリスが一番狡猾そうだと感じた。
「質問するだけで結論は言わず、相手に考えさせる」
というのは流行のプロパガンダ手法だ。
今のままだと地獄に落ちるわよ!
例えば、
「あなたは今のままでいいんですか?」
という質問をする。
決して
「あなたは今のままではダメになる」
とは言わない。
しかし、質問された人は
「今のままでは自分はダメになる」
と自分自身で結論づけてしまう。
「質問」というのは疑問を解消するためだけではなく、相手の考え方を変えるために利用(悪用?)される場合があるということは、知っておいて損はない。
※「こんなことをしているあなたを見たら、天国のご両親(or おじいさん、神様、お天道様、警察、上司、顧客、アメリカ、中国etc)は喜ぶでしょうか?」というのも有効な質問だ。
天国にいる人や神様は何を考えているか確かめようがないし、信仰心、良心、恐怖心という弱点を突くことができる。
※2015年に文庫版が出ている。