『孤独こそ最高の老後』(松原 惇子(著), SB新書, 2019)を読んだ。
「老後のひとりぐらしは心配」と恐れている人は、本書を読めばかなり気が楽になる。
著者はひとり女性の老後を支援するNPOの代表理事を務め、「孤独なシニア」を1,000人以上見てきた経験を持つ。
「老後は孤独な方が幸せ」であることを豊富な実例で証明している。
ひとことで言えば「孤独な方が気楽で自由」なのだ。
「孤独 = 不幸」と決めつけて無理に婚活したり友人を作ろうとして孤独から逃げるのはもったいない。
孤独な老後を避けると不幸になる
「孤独な老後」がなぜ幸福なのか。
理由は孤独な老後を避けると、かえって不幸を呼び込んでしまうからだ。
老後の孤独を避ける方法として、次のような方策がある。
- 結婚して家族(介護要員)を作る
- 老人ホームに入居する
- 再婚したり養子(養女)を取ったりする
しかし、結婚(再婚)しても、高級老人ホームに入っても、必ずしも幸福な老後とはいえない実例が紹介されていた。
孤独をいたずらに不安視して、「不安の解消」を他人に依存しても幸福にはなれないんだろうな。
孤独な方が健康でお金に困らない
「ひとり暮らしで自宅で倒れて、誰も救急車を呼んでくれず孤独死したらどうしよう」という心配がある。
「倒れる」というのは「重い病気になったりケガを負ったりする」ということだ。
しかし、著者の経験によると、ひとりぐらしの人ほど大きな病気にはならないという。
20年間おひとりさまの団体を運営していて感じることだが、ひとりの人が心配しているほど、ひとりの人は大きな病気にならない。
出典本書 p. 97
ひとりぐらしの人は自宅で倒れても救急車を呼んでくれる人や看病してくれる人がいないから、「病気になれない!」と気合いが入る。
家族と同居している人よりも「健康維持対策」をしっかりしているから「倒れるような病気」になりにくいのではないか、とわたしも推測する。
健康寿命(心身ともに自立し、健康的に生活できる期間)を長くすることができたら、医療費・介護費が少なくてすむから、お金にも困らない。
参照健康寿命とはどのようなもの?(公益財団法人 生命保険文化センター)
老後が不安な理由
ひとはなぜ老後(特に「おひとりさまの老後」)を不安に感じるのか。
不安を感じるにはひとつ条件がある。
それは「時間」だ。
不安がるには、不安を感じるための時間がたっぷりあることが必要だ。
つまり老後不安を感じるひとは「ヒマ」なのだ。
好きなときに好きなことをやっていれば「ヒマ」はなくなるから不安を感じることもなくなる。
ヒマがなくなれば「孤独 = 不幸」と洗脳しようとするテレビやネットニュースも見なくなる。
■目次
はじめに
第1章 孤独を避けようとするほど不幸になる
第2章 孤独なほうが、むしろ老後は幸せになれる
第3章 孤独なほうが健康対策もうまくいく
第4章 老後資金は、自分ひとりが楽しめる小遣いさえあれば十分
第5章 人間関係も生きがいも、孤独ベースのほうがうまくいく
第6章 死に支度こそ、孤独なほうが進めやすい
おわりに