高橋フミアキ『名作書き写し文章術』(コスモトゥーワン, 2009) を読んだ。
ブログを書いているから「文章上達法」にとても興味がある。
書くのが苦手な人、何を書いたらいいか悩んでいる人は一読の価値ありだ。
悩むより手を動かせ
文章スクールを主催する著者が、文章の指導を行っていて痛感したことが「名作とされる文章を書き写すだけで文章が上達する」だ。
文章は、頭で考えているだけでは書けるようにならないということです。それよりも、すでにある先人たちの優れた文章を真似て書き写すトレーニングをしたほうがはるかに文章は上達するのです。
- 何を書けばいいのかわからない
- どうやって書けばいいのかわからない
と悩むだけで何もしないよりは、名作をそのまま何も考えずに書き写す。
悩むより手を動かすほうが文章テクニックが上達するのが早い。
納得。
本書を読んで、早速「名作の書き写し」をやってみた。
書き写したのは本書で紹介されていた次の作品だ。
- 宮沢賢治『雨ニモ負ケズ』
- 高村光太郎『道程』
- 萩原朔太郎『女よ』
- 芥川龍之介『トロッコ』
- 梶井基次郎『檸檬』
- アンデルセン(菊池寛(訳))『みにくいアヒルの子』
- 芥川龍之介『蜘蛛の糸』
名文書き写しの効果
本書で指定されているとおり、毎日10分書き写す作業を行った。
わたしの場合、本書をKindle端末で文字を追いながら、大学ノートに手書きで書き写した。
紹介されている名作のほとんどは「青空文庫」に入っているから無料で読める。
書き写すのは大学ノートでなくても、PCやスマホのテキストエディタやワープロソフトを使ってもいい。
すべて書き写すのに1ヶ月ほどかかった。
文章が上達したかどうかは、まだ実感はないが、明らかに文章を書くことのハードルは下がった。
本書で紹介されている作品自体も面白かった。
芥川龍之介『トロッコ』は冒険小説、梶井基次郎『檸檬』はお金に困ったときのストレス解消法、アンデルセン『みにくいアヒルの子』は自由と豊かさを求めて組織を飛び出したサラリーマン小説として読める。
これから、「名作書き写し」の効果がでてきたらうれしい。