会社を辞めたのは40代前半だった。
退職を心の中で決めて、周囲の人たちに「退職宣言」したら猛反対された。
やっぱり。
早期退職に全員反対
「会社を辞める」と両親に言ったら猛反対。
妻子ありで会社で激務に耐えている友人に「退職することを考えている」とメールしたら猛反対の返信が返ってきた。
健康診断の診察の時に医師に「実は会社を辞めようと思うんです」と言ったら猛反対された。
みんな、わたしと同年代か年上の人たちだから、「男は正社員として定年まで会社で働くのが当然(一番お得)」という価値観しか持っていない。
会社を辞めて何をするのか明言しなかった(つまり他人から見ると「何もせずにブラブラする」ように見える)ことも猛反対の理由だったと思う。
ただ、「猛反対」は織り込み済み、「想定の範囲内」だった。
でも、実際に反対されると心が折れる。
誰も「早期退職」を支持してくれないというのはけっこう精神的にキツかった。
「実は貯金がこれだけあって、年間支出はこれだけだから、無駄使いしなければお金に困ることはないんです」と説明して納得してもらおうとは考えなかった。
貯金額を公表したくなかったし、「これだけじゃとても足りない」と突っ込もうと思えばいくらでも突っ込めるからだ。
それに、自分の人生は自分で選択するものであり、他人の同意など無用だからだ。
最後は、周囲の反対を押し切って退職した。
今では、早期退職に猛反対していた人たちもわたしが会社を辞めたことを納得しているようだ。
退職後に「早く会社に再就職しろ!」と言われたことはない。
「お金に困っているオーラ」を出していないのが大きいのかも。
実際、退職後5年ほどたつが、にお金に困ったことはない。
毎日自由に好きなことができている。
辞めてよかった。
好きなことをやろうとすると嫌われる
最近読んで当ブログでも紹介した本、『「好きなこと」だけして生きていく。』(心屋仁之助著 PHP研究所 2014) にこう書いてあった。
「好きなことをするというのはラクをすることではないのだ」、と。
納得。
わたしが早期退職に猛反対されたのも「好きなことをして生きていこう」と思ったからだったのだな。
本当に好きなことをやろうと思ったら、人に迷惑をかけてしまうかもしれません。人から非難されたり、嫌われたり、バカにされたり、妬まれたりする可能性もあります。いや、可能性ではなく、確実にそうされます。
あなたが突然「会社を辞めてミュージシャンをめざす」と宣言したら、どれだけの人が反対するでしょう。
「南の島で釣りをしながらブラブラ暮らす」と言ったら、頭がおかしくなったのかと思われるかもしれません。
好きなことをしようと思ったら、人に迷惑をかけて、嫌われる覚悟がいります。
安定を手放すとか、収入をなくすとか、築いてきた地位や立場を捨てるとか、とにかく一番恐ろしくて、絶対それだけはあり得ない、というところに飛び込まないと、好きなことをしては生きていけません。
(中略)
あなたがもし「ラクな生き方」ではなく、好きなことをして生きていきたいと思うのなら、「嫌われてもいい」「非難されてもいい」という「他人軸」のハードルを越えないといけないのです。
もし、周囲の反対が怖くて会社を辞めるのをちゅうちょしているのなら、辞めないほうがいいかもしれない。
「波風を立てずに自分を抑えて生きる」ことが人生最大の目標ならば、それでもいいと思う。
「子供の教育費」や「住宅ローン」や「老後資金」を言い訳にしてがネックで辞められないのかもしれない。
ただ、「会社を辞めて好きなことをして生きていきたい」のなら、「反対されて、嫌われる覚悟」が必要だ。
失敗して笑われるのが嫌だから、自分が本当にしたいことを勝手にやめて、自分の気持ちを殺してしまう。
まだ十分なお金があるのに、「将来ホームレスになったら困るから」と、好きなことにお金を使わず、せっせと貯金に回して、我慢の生活を送る。
そうなっていない未来を考えて、今を我慢するのはもったいないですね。
はい、本当にもったいないです。