銀河高原ビールの不適切会計と成果主義の悲哀

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電卓

銀河高原ビール、利益水増し 社長が引責辞任(2016.4.14 日本経済新聞)

という記事を読んだ。

利益を過大に計上して、計画が達成しているように見せかけていたという。

成果主義時代のサラリーマンの悲哀だな。

結果、5人の社員が処分された。

ビール工場長が諭旨解雇、他4名(ビール副課長、ビール主任、物流IT課副課長、醸造品質課副課長)は降格となった。

全従業員10数人のうち5人が処分だから、かなりの異常事態といえる。

参照調査委員会の調査結果等について (日本ハウスホールディングス)

成果の偽装がバレるまで、毎日ビクビクしていたんじゃないだろうか。

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不正会計の内容

訂正後の有価証券報告書(平成27年10月期)によると、不正会計の内容は次のとおりだった。

当社の平成28年10月期第1四半期決算において、連結子会社である株式会社銀河高原ビール(以下「ビール」といいます。)が売上高・売掛金の過大計上、棚卸資産の過大計上、売上原価・販管費認識の次期繰延べを過年度より行っていたことが判明いたしました。

粉飾の手口を箇条書きにするとこうなる。

  • 売上高・売掛金の過大計上
  • 棚卸資産の過大計上
  • 売上原価・販管費認識の次期繰延べ

売上・在庫を過大に計上して、経費を過小に計上する、つまり収入を大きく見せて支出を小さく見せる……粉飾できることはすべてやっていそうな勢いだ。

香味不良による返品

銀河高原ビールは日本ハウスホールディングス(1873)の子会社だ。

日本ハウスホールディングスの(平成27年10月期)有価証券報告書(訂正前)によると、ビール事業の説明は次のようになっていた。

ビール事業につきましては、クラフトビール市場の活性化もあり、売上高は10億1百万円(前連結会計年度比4.7%増)、営業利益は77百万円(同16.6%減)となりました。

不適切会計が発覚後、次のように訂正された。

ビール事業につきましては、クラフトビール市場の活性化もあり、売上高は9億65百万円(前連結会計年度比5.0%増)となりましたが、主に香味不良による返品の影響で営業損失は4百万円(前連結会計年度の営業利益は34百万円)となりました。

「香味不良」というのは、要するに「まずい」ということなのだろうか。

Amazonの「銀河高原ビール 小麦のビール 缶 350ml×24本」のレビューを見てみると、「酸っぱい」という意見がちらほらとある。

いつもより酸っぱい味がして、返品が相次いだのだろうか。

結局、決算の数値は次のように訂正された。

売上高:10億1千万円→9億65百万円

営業利益:77百万円→▲4百万円

「正直サラリーマン」の人生は幸福か

もし、計画を下回る数値を正直に報告していたらどうなっていただろうか。

上司(経営者や親会社)から「計画の未達」を責められて、最悪、リストラされていたかもしれない。

ならば、計画を達成したように見せかけて、バレるまで嘘をつきとおして会社にしがみつく、という動機が生まれる。

ただ、嘘をついて「目標を達成」すると、翌年度はさらに大きな目標が課せられ、さらに大きな嘘をつく必要がある。

「今年度だけちょっと決算の数字をごまかして”目標達成”ということにして、翌年度はがんばって儲けを出して数字を訂正すればいい」……そんな悪魔のささやきが聞こえたのだろうか。

一旦「嘘」の報告をすると、日常業務が「嘘を隠蔽すること」「世間体を取り繕うこと」になり、虚しくなる。

「目標が未達」の場合、正直に報告して怒られるか、バレるまで嘘をつき続けるか、どっちが幸福なサラリーマン人生を送れるだろうか。

参照日本ハウスホールディングス IR情報

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