当ブログで日本企業の粉飾決算、不祥事に関する記事を何本か書いた。
■リソー教育
■銀河高原ビール
■東芝
■東洋ゴム工業
「目標未達」を隠す
共通するのは「目標を無理に達成しようとしたけど、達成できずに嘘をつく」ことだ。
わたしの経験では、成果主義を採用している会社では、社員は毎年度「チャレンジングな目標」を設定させられる。
「チャレンジングな目標」とは「無理努力してやっと達成できる数字」だ。
長期的な利益目標などの視点から設定されるものではなく、当期又は四半期における利益を最大化するという観点(当期利益至上主義)から設定される数値であった。
日常業務を淡々とこなしているだけでは達成できない目標だ。
努力して年度末までに達成できれば問題ないが、達成できない場合、査定に響く。
上記の記事で取り上げた会社では、目標未達を知られたくないために目標を達成したように見せかけて、最終的には嘘が隠せなくなったケースだ。
その原因の主たるものは,創業者であり,経営者であるA会長の売上に重きを置く経営方針と,これに直結する短期の昇給,昇格,降給,降格等の人事評価制度にあり,その結果,取締役や社員が売上目標達成のためには売上の不適正計上もやむを得ないとの心情に陥ってこれを実行したといえる。
リソー教育「第三者委員会の調査報告書受領に関するお知らせ」
目標は長期的にじっくり時間をかけて達成するものではなく、半年~1年以内に「必達」を要求される。
サラリーマン人生は最長で約40年、毎年度「目標達成」を勝ち取るには「40連勝」することが必要だ。
ちょっと考えれば、八百長でもしないかぎり「40連勝」なんて無理だ。
上場企業、有名企業の正社員なら「目標未達」で出世コースから外されたりリストラされたりすると終わりだから、「嘘をついてでも今の地位にしがみつく」という動機が生まれる。
粉飾決算に直結する
上場企業の場合、現場の「嘘の数字」が会計に上がってきて決算に反映してしまうと、「粉飾決算」となる。
最終的には嘘をついた社員本人だけでなく、リストラされる他の同僚、投資家、顧客など広範囲に悪影響が及ぶ。
最近では三菱自動車の燃費不正もあったりして、「日本企業で成果主義を根づかせるのは無理なんじゃないか」と思う。
「目標未達でも翌年度以降に挽回できる職場環境」「会社を解雇されても転職しやすい労働市場」「右肩上がりの経済」じゃないと、成果主義は無理なんじゃないか。