「チンチロリン・ハイボール」に見る我が国におけるギャンブル教育の必要性 (2016.4.23 Yahoo!ニュース)
という記事を読んだ。
日本人はギャンブルが大好きなのに「期待値」の計算が苦手だ、という記事。
記事では「チンチロリンハイボール」という、居酒屋でよくあるという「ギャンブル」が取り上げられていた。
チンチロリン・ハイボール
定価が350円のハイボールがある。
客がサイコロを2つ振って、出た目に応じて次のように値段が変わる。
- ゾロ目……無料(0円)
- 偶数……半額(175円)
- 奇数……倍額(700円)
このゲームをやって「無料」「半額」を狙ったほうが得か、それとも定価の350円を払ったほうが得か。
どっちが得かを調べるには「確率」を求める。
「確率」の公式を知らなくても、泥臭く目のパターンを数えれば求めることができる。
※※
①サイコロを2つ振って「ゾロ目」が出る確率
サイコロを2つ振って出る目のパターンは6×6=36通り。
そのうち、ゾロ目は(1,1)(2,2)(3,3)(4,4)(5,5)(6,6)の6通りだから、ゾロ目が出る確率は、
6/36=1/6
②偶数(ゾロ目以外)が出る確率
サイコロを2つ振って偶数(ゾロ目を除く)となるのは、(1,3)(1,5)(2,4)(2,6)(3,1)……(6,2)(6,4)の12通り。
よって、12/36=1/3
ここでポイントは「(1,3)と(3,1)」や「(2,4)と(4,2)」のような合計が同じになる組をそれぞれ「2つ」と数えるところ。
サイコロを2つ振った結果(1,3)と(3,1)は同じように見えるが、サイコロを区別して「サイコロAが1でサイコロBが3」と「サイコロAが3でサイコロBが1」とパターンを分けて数える。
③奇数が出る確率
サイコロを2つ振って合計が奇数となるパターンは、すべての目のパターン36通りから、上記①②のパターンを差し引けばいいから、
36-6-12=18通り。
よって、18/36=1/2
期待値
チンチロリン・ハイボールをやったほうが得か、定価の350円を払ったほうが得かを計算するために、チンチロリン・ハイボールの期待値を求める。
期待値は「値段×確率」の和で、チンチロリン・ハイボールの本当の値段を求めることができる。
このチンチロリン・ハイボールの期待値は、
0×(1/6)+175×(1/3)+700×(1/2)≒408(円)
となり、定価の350円をオーバーする。
このチンチロリン・ハイボールに参加するのは、「350円のハイボールを408円で注文するのと同じ」だ。
定価で飲むよりも「損」となる。
損失分は「ギャンブルのワクワク感を味わう」ために支払うコストとなる。
逆に、店側は350円のハイボールを顧客満足度を下げることなく408円で売れるのでホクホクだ。
知ってても言わない
もし、飲み会で誰かが「チンチロリン・ハイボール」をやっているときに「”定価<期待値”だから損」と発言したら「場を盛り下げる”空気を読めない奴”」と思われるのがオチだ。
だから、数学の知識があっても黙っているのが吉。
宝くじ・競馬も同じ
チンチロリン・ハイボールと同じように、宝くじや競馬のような公営ギャンブルも「期待値」を計算すれば「損」という結果になる。
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<参考文献>
※お酒は20歳になってから。賭博行為は日本国内では法律で禁止されています。