「早期退職」という撤退戦

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曽野綾子『人間の分際』 (幻冬舎新書, 2015) を読んだ。

タイトルの「分際」とは「身の程」という意味だ。

身の程を知って生きれば幸福に生きられる。

本書は、自分の分際を知って、人生を無理せずにおもしろく生きるためのヒント集だ。

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会社は深く愛さないほうがいい

わたしが本書の中で一番同意したのは「会社は深く愛さないほうがいい」という言葉だ。

会社や組織は深く愛さないほうがいい。愛し始めると、人はものが見えなくなります。執着して悪女の深情けになる。

p.198

「悪女の深情け」とは「顔かたちのよくない女性は情け深く、嫉妬心が強いものだということ」(故事ことわざ辞典)。

「会社を愛する」というと「愛社精神」といった良いイメージを持つかもしれない。

が、実態は「会社に全人生を依存する」ことだ。

危険過ぎる。

会社を愛していないと、こんなはずじゃなかったと思うこともありません。リストラされても、絶望しないでしょう。嫌な組織にしがみつくこともない。そもそも、あらゆる瞬間に、今の生き方以外に「逃げ道」だか「退路」だかを考えておかないというほうが、私は間違っているような気がします。

p.198

わたしの場合、「逃げ道」「退路」として考えていたのが「早期退職」だった。

「逃げ道」「退路」を考えないで「玉砕」するまで戦い続けたら悲惨な末路になることは、日本人は第2次世界大戦で経験済みのはず。

サラリーマンの人生は負け戦

高度経済成長が終わり、バブルが崩壊して以降は、「サラリーマンの人生=負け戦」だ。

管理職ポストも予算も限られているから、みんなが昇進昇給できるわけではなくなった。

頑張ったからといって給料が上がるわけではない。

おもしろくない。

「会社は嫌いだけと、家族の生活のため住宅ローンのために、仕方なくしがみつく」というのは人生の時間がもったいない

贅沢を言わなければ、逃げ道はたくさんあります。今の生活レベルを保持しようと思うから、ほかにないのです。基本は、素朴な衣食住を確保する、それだけ。暮らせる条件は、どうにか死なないことだと自分にも言い聞かせ、日頃から妻にも子供たちにも吹き込んでおくことです。

p.199

”現在の生活レベルを維持するために仕方なく耐える”以外の方法がたくさんある」ことを、本書で学ぶことができる。

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