賃貸派からマイホーム派に鞍替えするだけで老後の貯金が増える?
そんなウマい話があるのか?
「6000万円の家が欲しい」 甘い見通し、破産への道(2018.1.30 NIKKEI STYLE「マネー研究所」)
という記事を読んだ。
賃貸生活をやめて6,000万円のマンションをフルローン(頭金ゼロ!)で買おうとしている47歳のサラリーマン「C氏」をFPがたしなめる。
6,000万円のマンションを買うだけではなく、マイカーは200万~300万円のグレードで5~6年で乗り換え、子供は中学から大学まで私学に通わせたいとのこと。
C氏は年収850万円だが貯蓄は750万円で、貯蓄のうち300万円を「頭金」ではなくマイホーム購入の諸費用にあてる予定だと……。
あまりにも甘すぎる計画で、ローン地獄になるのが目に見えているからFPはC氏を止める。
だがしかし、FPはC氏にさらに酷な提案をする。
賃貸 vs. マイホーム
甘い夢を見ているサラリーマンにマンション購入をあきらめさせて終わりかと思っていたが、FPはC氏に「4,000万円のマイホーム」と「賃貸」の場合の2種類の資金シミュレーションを提示する。
結局、C氏は4,000万円のマイホームを買う。
FPが提示したシミュレーションによると、「賃貸に住み続けるより、マイホームを買った方が将来の貯蓄額が多くなる」のだ。
賃貸に住み続けた場合、90歳時点での金融資産は422万円にとどまりますが、4000万円の住宅を購入した場合は1755万円が残る計算になります。
賃貸よりもマイホームの方が1,300万円以上も多く貯まる??
マイホーム購入の方が貯蓄が多くなるという見積もりが出た理由は2つだ。
- 賃貸よりマイホームを買う方が月々の負担が6,000円(年72,000円)少ない
- 住宅ローン控除で10年間は年40万円手取り収入が増える
わたしは、「甘い」と感じた。
賃貸からマイホームに変わるだけで貯金が増えるようなウマい話は、ない。
「甘い」と感じた点
わたしが甘いと思った理由は2つ。
- 賃貸からマイホームに移ったときの費用の増加を見積もっていない
- 将来確実にかかるリフォーム費用を見積もっていない
賃貸からマイホームに移ると、水道光熱費や家具家電費が増える可能性が高い。
つまり、部屋数が増えたり「一国一城の主」になった「ドヤ感」があったりして自然に生活レベルが上がってしまうリスクが高い。
しかし、シミュレーションでは賃貸とマイホームの住宅費以外の諸費用は「同額」と見積もっている。
「将来のリフォーム費用」が見積もりに入っていないのも問題だと思う。
賃貸からマイホームに移るだけで老後の貯金が増えると思うのは甘い。
まとめ
人生の資金シミュレーションは厳しめに自分でやった方がいい。