古代ローマの歴史を学んで、なぜサラリーマンでいることが「安心」だと感じるのかがわかった。
早期リタイア・転職・独立なんかして「自由」を獲得するよりも、不自由だけどサラリーマンのままでいたほうが安心だ。
「収入・地位が安定している」というベタな理由より、もっと強い理由があった。
なぜサラリーマンでいるだけで安心なのか、ローマの歴史から読み解いてみた。
海外ドラマ「ローマ」にハマる
そもそも、なぜローマの歴史に興味を持ったのかを話したい。
それは、Amazonプライムビデオで海外ドラマ「ローマ」を観ているから(笑)。
ドラマではカエサルとオクタヴィアヌスの時代を描いている。
いや~、面白いドラマだ。
さらにローマの歴史について知りたくなったので、ローマ史の入門書『はじめて読む人のローマ史1200年』(本村凌二 (著), 祥伝社新書, 2014)を読んだ。
本書で一番興味深かったのは「ローマの奴隷」だ。
奴隷は自由を求めて戦う
ローマでは主要な労働力は「奴隷」だった。
「奴隷」は主に戦争捕虜だ。
戦争で獲得した捕虜を奴隷にして、労働力として使っていた。
奴隷といっても、捕虜になる前は自由民だった。
捕虜になって奴隷にさせられた人々は「自由の味」を知っているので、しばしば反乱を起こした。
しかし、ある時期を境に反乱が激減した。
奴隷が自由を求めて戦わなくなってしまった。
なぜか。
パクス・ロマーナ
なぜ、奴隷の反乱が激減したのか?
理由は「平和」だ。
ローマの対外戦争や内乱が激減して平和な安定期(パクス・ロマーナ)に入ると、戦争で捕虜を獲得できなくなった。
しかし、平和になっても労働力は必要なので、戦争に代わる奴隷の供給源を作らなければならない。
戦争以外の方法でどうやって奴隷を獲得したのか。
本書の説によると「捨て子」だという。
生まれながらの奴隷
当時、捨て子が多かったらしい。
そこで、奴隷商人が捨て子(孤児)を集めて「奴隷」として育てた。
捨て子は「奴隷になることが人生の目標」として育てられた。
「奴隷教育」を受けて奴隷になったら、不自由で重労働の毎日でも「人生はそういうもの」と思うので、主人に反抗してまで自由を獲得しようとしない。
だから、生まれながらの奴隷たちは、元自由民だった戦争捕虜の奴隷のように自由を求めて反乱を起こすことはなくなった。
平和な時代の奴隷は「自由を知らない子供たち」なのだ。
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現代の日本人も、生まれてから大学を卒業するまで「従順なサラリーマン(&納税者)になることが人生の目標」として育てられるので、サラリーマン以外の人生を選ぶと「大きな不安」を感じるように洗脳されているのだ。