セミリタイア生活の暇つぶしには算数(や数学)の問題は最適?
今回は無謀にも(?)灘中の入試問題を解いてみたい。
講談社ブルーバックスの『難関入試 算数速攻術』(中川 塁(著), 松島 りつこ(画),2013)に掲載されていた次の問題だ。
一辺の長さが1cmの正方形をしたタイルをすきまなく並べて長方形を作り、この長方形のいつの対角線に沿ってタイルを切ったとき、切られたタイルの数を数えます。
(1)タイル5184個をたて81cm、横64cmの長方形に並べたとき、切られたタイルは何個ですか。
(2)タイル11664個をたて144cm、横81cmの長方形に並べたとき、切られたタイルは何個ですか。
(灘中改題)
この問題、「解き方」を知らない人は解けなくて当然の問題なので、一読して理解できなかったとしても落ち込む必要はない(わたしも本書を読む前は解けなかった)。
正方形のタイルをタテと横に何枚か並べて対角に切ったら、何枚のタイルが切れますかという問題なんだけど、「植木算を使って解く」という知識がなければいくら悩んでも解けないだろう。
が、この記事を読み終わる頃にはこの「灘中の入試問題」が解けるようになっている、かも。
タイルを並べて切る
例として、たてに5枚、横に3枚、正方形のタイルを並べて対角線に沿って切るイメージを描いてみるとこうなる。
「赤い線」に沿って切ったとする。
この場合、切られたタイルを数えてみると7枚だった。
問題(1)はタイル5184個をたて81枚、横64枚に並べるので、絵を描いて数えるにはあまりにも数が大きすぎる(笑)。
なので、切られたタイルの枚数を数えるために「植木算」という方法を使う。
植木算とは
「植木算」とは直線上に木を植える場合、「木の本数」と「木と木の間の数」が異なることを利用する算術だ(本書 p. 10より)。
上図の赤い線の上に「木」を植えていくとイメージする。
赤い線とタイルの辺が交わるところに赤い丸印を書いて「木」とみなすとこうなる。
直線上に6本の木が植わっているように見えない?
切り取られたタイルを数える
タテに並べたタイルの数「5」と、横の数「3」は互いに素(5と3の最小公約数が1しかない)なので、格子点(タイルの正方形の頂点)を通過することはない(←この点を理解するのが難しいかも)。
なので木(丸印)の数は、
たてのラインとの交点 3 – 1 = 2(点)
よこのラインとの交点 5 – 1 = 4(点)
となる。
ここで植木算(両端に木を植えないケース)より、
「木と木の間の数」 = 「木の本数」 + 1
なので、
切り取られるタイルの数は、6 + 1 = 7(個)
となる。
問題(1)を解く
植木算の知識が入ったので、問題(1)を解く。
(1)タイル5184個をたて81cm、横64cmの長方形に並べたとき、切られたタイルは何個ですか。
81と64は互いに素なので、
たてのラインとの交点 81 – 1 = 80(点)
よこのラインとの交点 64 – 1 = 63(点)
となる。
よって植木算より、切り取られたタイルの数は、
80 + 63 + 1 = 144(個)……(答え)
問題(2)を解く
次は問題(2)だ。
(2)タイル11664個をたて144cm、横81cmの長方形に並べたとき、切られたタイルは何個ですか。
144と81は互いに素ではない。
最大公約数は9だ。
なので、タテが16枚、横が9枚の長方形が対角線上に9個ある。
それぞれの長方形の交点を数えると、
たてのラインとの交点 16 – 1 = 15(点)
よこのラインとの交点 9 – 1 = 8(点)
切り取られたタイルの数は1つの長方形あたりで、
15 + 8 + 1 = 24(個)
これらの長方形は対角線上に9個あるので、切り取られたタイルの合計は、
24 × 9 = 216(個)……(答え)
となる。
まとめ
小学生ってこんな難しい算数を勉強しているんだな、と実感できた。
「こんなの小学生でもわかる!」なんて言葉、もう吐けないね。
くわしい説明は本書を参照してください。