中学の理科で驚いた。
「電球は電力(ワット数)が大きい方が明るい」
と思い込んでいたが、「ワット数が小さい電球の方が明るい場合がある」と知って驚いた。
電磁気学のロングセラー入門書『電磁気学のABC』(福島 肇(著), 講談社ブルーバックス, 2007)を読んで知った。
60Wと40Wの電球を直列につないで電圧が100Vの場合、40Wの電球の方が明るいらしい。
本書p. 30の図1.5を参考に描いてみるとこんなかんじ。
なぜワット数の小さい電球の方が明るいのか?
理由は「40Wの電球の方が抵抗が大きいから」と本書で説明していた。
が、「なぜ抵抗が大きいと電球が明るくなるのか?」と疑問がわいてきてますますわからなくなった。
電球の抵抗を求める
電球の明るさは「抵抗」で決まるようだから、まずは各電球の抵抗を求める。
60Wの電球の抵抗をR1、40Wの電球の抵抗をR2とする。
「ワット数(電力) = 電圧 × 電流」「電圧 = 電流 × 抵抗」だから、
$$電力 = 電圧 \times 電流 = 電圧 \times \frac{電圧}{抵抗} = \frac{電圧^{2}}{抵抗}$$
よって、
$$抵抗 =\frac{電圧^{2}}{電力}$$
となるから、 60Wの電球の抵抗R1、40Wの電球の抵抗R2は、
$$R_{1}=\frac{100^{2}}{60} = 166.6 \left( \Omega \right)$$
$$R_{2}=\frac{100^{2}}{40} = 250 \left( \Omega \right)$$
「Ω」は抵抗の単位で「オーム」という。
電球の消費電力を求める
60W、40Wの各電球の消費電力をP1、P2とする。
まず、回路に流れる電流を求める。
「電圧 = 抵抗 × 電流」なので「電流 = 電圧 ÷ 抵抗」となるから、
電流 = 100 ÷ (166.6 + 250) = 0.24 (A)
となる(「A」は電流の単位で「アンペア」という)。
「消費電力 = 電圧 × 電流 = 抵抗 × 電流 × 電流」だから、
P1 = R1 × 0.24 × 0.24 = 166.6 × 0.24 × 0.24 = 9.6 (W)
P2 = R2 × 0.24 × 0.24 = 250 × 0.24 × 0.24 = 14.4 (W)
P1 < P2だから60Wの電球より40Wの電球の方が消費電力の方が大きい。
だから、40Wの電球の方が明るい。
まとめ
上記の直列回路の場合、2つの電球に流れる電流は同じだ。
消費電力 = 電圧 × 電流
電圧 = 電流 × 抵抗 (オームの法則)
なので、電球の消費電力は、
電球の消費電力 = 電球の抵抗 × 電流2
となり、電球の抵抗に比例する。
なので、抵抗が大きい40Wの電球の方が明るくなる。
参考文献・サイト
『「中学の理科」全法則が9時間でわかる本』(酒井 冨美江(著), PHP研究所, 1999)
『ピンポイント苦手単元克服シリーズ オームの法則』(山内 正(著), 2019)
20Wと40Wの電球を直列につなぐと20Wの方が明るくなるのはなぜですか? (教えて! goo)
直列つなぎと並列つなぎの違いとは!電圧・電流・豆電球の明るさは? (とはとは.net)