「議論の対象が食い違っていると結論がおかしくなる例」というのが放送大学の数学の授業で紹介されていた。
数学が得意な人は一瞬で見破ることができると思うが、わたしは解説をしてもらわないとわからなかった。
例題は、「1と0は等しいことを証明する」。
1=0であることの証明?
x2+1=0 (1)
(1)の両辺に2xを加えると、
x2+2x+1=2x
(x+1)2=2x
(x+1)2≧0だから、2x≧0、
ゆえに、x≧0 (2)
(1)の両辺から2xを引くと、
x2-2x+1=-2x
(x-1)2=-2x
(x-1)2≧0だから、-2x≧0
ゆえに、x≦0 (3)
(2)と(3)より、x=0
これを(1)に代入すると、1=0
間違っている議論
「(x+1)2≧0および(x-1)2≧0」が間違い
→2乗して正数または0になるのは実数の場合だけである。
x2+1=0をみたすxは複素数(2乗して-1となる数)であり、(1)をみたす実数は存在しない。
複素数の議論をしていたのに、いつの間にか実数の議論になってしまった。
xは複素数なのに、「xは実数」という前提で議論を進めたから、結論がおかしくなった。
<参考>
放送大学「微分と積分 第2回」