若い時は二度とやって来ないし、一日に二度目の朝はない。楽しめる時にはせいぜい楽しもう。時というものは人を待ってくれないぞ。
これは、中国の詩人「陶淵明」の詩の一部の和訳だ。
出典『陶淵明全集〈下〉』(岩波文庫)p.27
“楽しめるときにせいぜい楽しもう。時間は待ってくれない“……といわれたら、退職願を出すしかないでしょ。
と思って本気で早期退職を検討するきっかけとなった漢詩だ。
詩の全文は、
人生無根蔕 人生根蔕(こんてい)無く、
飄如陌上塵 飄(ひょう)として陌上(はくじょう)の塵の如し。
分散逐風轉 分散し風を逐(お)いて転じ、
此已非常身 此れ已(すで)に常身に非ず。
落地爲兄弟 地に落ちて兄弟(けいてい)と為る、
何必骨肉親 何ぞ必ずしも骨肉の親(しん)のみならんや。
得歡當作樂 歓を得ては当(まさ)に楽しみを作(な)すべし、
斗酒聚比鄰 斗酒、比隣を聚(あつ)めよ。
盛年不重來 盛年(せいねん)重ねて来らず、
一日難再晨 一日(いちじつ)再び晨(あした)なり難し。
及時當勉勵 時に及んで当に勉励すべし、
歳月不待人 歳月は人を待たず。
日本では、「若い時はがんばって勉強(仕事)しろ、時間は待ってくれないぞ(締め切りに間に合わないぞ)。」と誤読して、若者への説教に利用(悪用)した人が多いとか。
「勉励」とは「がんばって楽しむこと」。決して受験勉強や、やらされ仕事にはげめ、という意味ではない。
今、楽しんでおかないと、時間はどんどん流れていってしまう。