妻と離婚したら「将来受け取れるかもしれない退職金」も財産分与の対象となる。
もらえるかどうかあやふやな退職金を、妻に支払うことを約束させられる?
怖い。
「妻と離婚したら自分の退職金と年金はどうなる?」(2014.5.14 ヨミウリ・オンライン)という記事によると、妻と離婚したら、年金だけでなく「将来受け取る退職金」も財産分与の対象となった判例があるそうだ。
年金は分割されることは知っていたが、退職金も対象になるとは知らなかった。
将来の退職金なんて、もらえるかどうかわからないのに。
夫婦最初の共同作業が結婚式のケーキカットで、最後の共同作業が退職金の分割か……。
退職金が財産分与の対象となるケース
実際の判例では、離婚から定年までの期間が「3~9年以内」の場合、「退職金が支給される可能性が高い」として財産分与の対象となったそうだ。
もし定年が60歳なら、50代で離婚した場合は「将来もらえるかもしれない退職金」に相当する金額の一部を妻に支払う義務が生じるかも。
一方、退職までの期間が15年以上のケースについては「財産分与の対象外」という判決がある。
定年退職までの期間が5年以内(東京家庭裁判所・平成22年6月23日審判、大阪高等裁判所・平成19年1月23日判決、東京地方裁判所・平成17年1月25日判決)、6年以内(東京地方裁判所・平成11年9月3日判決)、7年以内(東京地方裁判所・平成15年4月16日判決、東京高等裁判所・平成10年3月13日判決)、9年以内(東京地方裁判所・平成17年4月27日判決)などの場合に、近い将来受領し得る蓋然性が高いと、それぞれの判断理由の中で指摘され、財産分与の対象とされています。
他方、定年退職まで15年以上の場合(名古屋高等裁判所・平成21年5月28日判決)などでは、退職金を財産分与の対象とはしないとの判断が示されています。
15年以上先の定年退職金なんて、「絵に描いた餅」だから対象外だろう。
早期退職してるかもしれないし、退職金制度がなくなったり、会社そのものがなくなってるかもしれない。
退職金が財産分与の対象となるのは「退職まであと9年以内」のケースだ。
つまり、50歳以降に離婚したら、「虎の子の老後資金」となるはずの退職金を離婚する妻に渡さないといけなくなるかも。
いつ「元妻」に払うのか?
仮に「将来の退職金を元妻に払え」という判決が出たら、いつ払うのか?
元妻から「退職金は3,000万円くらいよね?じゃあ、半分の1,500万円、プラス慰謝料と忍耐料と家事代と利息手数料込みで2,500万円、いますぐ耳を揃えて払いなさい!」
と言われたら払わないといけないのだろうか?
判例では、資産がある場合に限り払えばいいようだ。
現金がなければ、自宅を処分してカネを作って払ってもいいようだ(泣)。
ただ、自宅を処分して手持ちの現金とともに払ってしまったら、「カネなし、妻なし、家なし」のホームレスになってしまう。
「豊かな老後」を過ごすには「離婚リスク」はなるべく避けたほうが良さそうだ。
※妻の戦略としては、「定年までの期間が10年を切るまで”夫に尽くす妻”を演じて粘る」という方法がある……怖い。