「9-3÷1/3+1」が計算できなくて大丈夫なのか? 1部上場企業技術者「小学生以下」学力の実態 (2015.12.3 JCASTニュース)
というニュースを読んだ。
大企業の20代技術者の正答率が6割を切ったのが、「9-3÷1/3+1」という計算問題だ。
「9-3÷1/3+1」(1/3は、3分の1)という計算問題の正答率は、なんと6割を切ったという。優秀なはずの大手企業の技術者でも、小学生レベルの基礎的学力が身についていないことになる。
わたし自身、解答できるかどうか不安なのでやってみた。
わたしの答案
9-3÷1/3+1
=9-(3÷1/3)+1
=9-(3×3)+1
=9-9+1
=1
なぜか、上記記事には正解は書いていない。
ちなみに、Google電卓の計算結果も1だった(1/3をかっこでくくる)。
解答・解説
Yahoo!知恵袋にあった解答・解説によると、
1/3を「3分の1」と認識すれば解答は「1」でOKのようだ。
解き方は、まず3÷1/3(/は÷ではありません)が割り算なので計算が優先されます。(割り算、掛け算は優先)これを3÷1/3から3÷3/1に直し、3を分数にすると3/1で約分できないのでそのまま3×3をし9になります。そしてこれを9-9=0、0+1=1となり、よって答えは1 ということです。
3÷1/3を「3÷1÷3」と認識すれば、「3÷1÷3=1」なので、
9-3÷1/3+1
=9-1+1
=9
となる。
上記記事の注には”(1/3は、3分の1)”と書いてあったので、
9-3÷1/3+1=1
とみなしていいと思う。
なぜ計算できないのか
わたしはこの問題を解くときに計算過程を書いた。
これは、芳沢光雄『数学的思考法―説明力を鍛えるヒント』(講談社現代新書 2005) で学んだ方法だ。
本書によると、計算能力低下をはじめとする「学力低下」の原因は「学力向上」策の誤りだとする。
計算練習は必要である。しかし「公式」や「やり方」を導き出す過程をしっかりと納得したうえで行うべきであり、数式もていねいにきちんと書くことを心がけるべきなのだ。ところが「学力低下論議」を追い風に何が起こったかといえば、考え方を理解したうえで一歩ずつ正確に計算するのではなく、数式の命である等号さえ省略し、表の中に答えだけを急いで書くような訓練こそ「学力向上」の救世主となるかのような幻想を、一般の大人たちばかりか一部の教師までが抱いてしまったのだ。
(中略)
いま最も求められているのは、プロセスを重んじる教育なのだ。
「9-3÷1/3+1」の答えがなぜ「1」なのか、計算結果を出すまでのプロセスを書かないと「なぜ”1″になったのか?」がわからない。
誰が見ても答えの根拠がわかるように「計算過程」をきっちりと書く教育が必要だ。