定年前に早期退職する「セミリタイア」を成功させるには何が必要か?
「貯金」というのが一般的な回答だ。
「貯金」の他にもうひとつ必要な条件は「頭のわるさ」だと『科学者とあたま』(寺田 寅彦(著), 青空文庫( Kindle版))という本を読んで思った。
本書は「科学者に必要なのは”頭のよさ”と”頭のわるさ”の両方が必要」だという。
「頭のよさ」とは「論理的思考力」「予測力」「直観力」といった、正しく考えて未来を見通す頭脳を持っていることだ。
セミリタイア生活だと、手持ちの貯金を適切に運用したり、リスクを計算して危険を避けるといった能力だ。
「頭のいい人」の欠点
「頭がいい人」でいると人生で失敗が少なくうまくいくかといえば、そうでもない。
「頭がいい人」にはデメリットがある。
かなり大きなデメリットだ。
頭のいい人は見通しがきくだけに、あらゆる道筋の前途の難関が見渡される。少なくも自分でそういう気がする。そのためにややもすると前進する勇気を阻喪しやすい。
頭がいい人は、思考停止した頭の中だけで未来を計算して「リスクが大きい」と判断すると、実行が止まってしまう。
「40歳でセミリタイア?お金がない。家族が反対するに決まってる。大病したらどーすんの?」とか。
仕事でもリスクを取らなくなり「社内評論家」で定年を迎える。
「頭がわるい」セミリタイア
一方「頭がわるい人」は余計なシミュレーションをしないから楽観的に行動し、実際に困難にぶち当たっても切り抜けていく。
頭の悪い人は前途に霧がかかっているためにかえって楽観的である。そうして難関に出会っても存外どうにかしてそれを切り抜けて行く。どうにも抜けられない難関というのはきわめてまれだからである。
退職したくなったらパッと辞め、セミリタイア生活を楽しみながらお金がなくてもヘラヘラ笑ってなんとか切り抜けてしまう……という「理想のセミリタイア生活」をいとも簡単に手に入れてしまうんじゃないか。
日本でセミリタイア生活を送るなら、お金の問題は一番解決しやすい問題なのに「無一文になったら終わり」と勝手に思い込んでセミリタイアを思いとどまる……もったいない。
と、本書を読んで感じた。